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2008年3月 9日 (日)

ミラクル【奇跡】

「さぁさぁお立ち会いね
 ご用とお急ぎでないかたは見ていってちょうだいね
 ここに取りぃ出したる石ね
 ただの石じゃないのね
 奇跡を呼ぶ石なの。
 ほらほら、おねぇさん、よーく見てごらん
 キラキラと輝いてるでしょ?ねっ?
 輝く石だけに輝石=奇跡
 (ぷっ)

 はーい、まだ帰らないくださいねぇ〜
 これは単なるつかみなんですからね
 えっ?つかんでないって?
 いいのいいの、ボクだってちょっと前までは
 この石で、どっかんどっかん笑いを取ってたんだから。
 でも今じゃ、もうすっかり落ちぶれちゃってぇ
 笑いのツボが分からなくなってるんだからね。
 覚えてるでしょ?このつぶやくよーなしゃべり?ねっ?
 ぼそぼそとしたしゃべりかた。ねっ?
 まっいいや。誰も覚えて無くても。
 でも、誰かがこれさえ買ってくれりゃ、ボクもまた・・・
 まっボクのことはどーでもいいよね

 で、この石はね、歴代のブレークしたお笑い芸人さんが一度は持ったことのある
 『満座石』って・・・・

 はーい、まだ帰らないでね、たんなるダジャレじゃないんだからね
 本当にそういう名前なんだからね。
 でね、ここんとこ見て、ほらここ
 ねっ、USB端子が付いてるでしょぅ?
 これをお持ちのパソコンに繋いでもらって
 で、ちょろっと覗いてもらえば一目瞭然
 名だたる芸人さんが売れるきっかけとなったキーワードが並んでるんだから
 みんな、この『満座石』を手に入れて世に出たっていう貴重な代物なんだからね。

 よーし、分かったっ!じゃ百聞は一見にしかずだっ!
 今ここで、ちょっとだけ開いて見せるからね

 はいよ、どう?
 これは、ヤンキー漫才で一世を風靡した紳竜さんね
 『体弱いねん』
 で、ツービートさんはこれ
 『コマネチッ』
 でね、ほらこれこそが、ご存じヤスキヨさん
 『怒るでぇしかし』

 ねっ、こーやってキーワードが出てきて
 それを元にみなさん自分なりにね、ふくらましていって
 世に出たってぇわけ。
 ねっ、ここまでいいでしょ?
 もちろん中には出そーになったけど
 どーしても力及ばずでブレークしきれなかった芸人さんもいるけどね。
 例えばこれ
 『ボディービル』
 そう、ブルータスさんね。
 『好きくない』
 そう、サブロー・シローさんね
 『オレがまだ夕焼けだった頃』
 知ってるかな〜知らねーだろーなー
 うん、この人の場合は一応大きくブレークはしたんだけどね
 まぁ、続かなかっただけでね
 結局、最後は自分の持ってる力次第なんだけどね
 とりあえずこーやって一度は世に出る機会をこの『満座石』は与えてくれるんですね。

  で、このどーしても開かないファイルがあるでしょ?
 パスワードを入力しないと開かないファイル。
 このファイルを開くとね、次のキーワードが出てくるってわけなのね。

 どう?お笑い芸人をめざしてるアナタ
 この世にたった一つしかない『満座石』
 買ってみない?ねぇ?
 お代はアナタの魂・・・・」

◇                  ◇

「おい、いいもん手にいれたな、これでオレたちも売れっ子間違いなしだ」

「ばーか、こんなもんで売れるんだったら、誰も苦労なんかしねーよ
 つか、おまえは魂を売っちゃったんだぜ?どーするの?
 魂のない芸人っ!ってキャッチフレーズで売る?高田純二ばりに」

「高田純二か・・・まっそれなりの位置にはいるよな?
 でも、せっかく魂まで売ったんだから、もうちょっと上のポジションがいいな」

「そーだな、せめてタモさんクラスにはなりてーよな?って一人じゃん
 オレの立場がないぞっ!って、何も始まらないうちに怒ったってしゃーないね。
 まっいっか。とりあえず開いてみようぜ、どーせ騙されてると思うけどさ」

「えと、パスワードは a m u t t e rと・・・・」

 『ミラクル』

「・・・・ミラクルって、これをどーしろっつーんだ?
 なんかインスピレーション浮かぶ?これをネタにさ・・・
 ちょっとさ、他の開いてないファイルをも開いてみよーぜ
 ・・・・ダメだ、これっきゃ開かねーや」

「ほーら、言わないこっちゃない。騙されてるんだよ。からかわれたの
 あのさっきのテキ屋のオヤジに」

「ちょっと待てっ・・・・よしっ!分かったっ!今ピーンときたっ!
 んじゃこーしよー『ミラクル』っつーコンビ名にしようっ!
 今までの人は全部ネタだろ?
 でもオレたちのはコンビ名にしちゃえばさ、解散するまでは
 この『満座石』の効果がありそうじゃん。なっそーしよ
 おけっ!んじゃ、オレが『ミラ』でおまえが『クル』どう?・・・・」

◇                  ◇

「どーもー(ぱちぱちぱちぱち)ミラでーす」
「クルでーす」
【二人あわせてミラクルでーす♪】
「♪ボクの名前はミラぼー♪」
「♪ボクの名前はクルぼー♪」
【♪二人あわせてミラクルだー、きーみとぼくとでミラクルだー♪】
「♪ちいさなネタから♪」
「♪大きなネタまで♪」
【♪笑かすコンビだミラクルぼーいーずぅ〜〜〜〜〜〜〜〜♪・・・・・】

「な?あのときに買っておいてよかったろ?今じゃもう
 押しも押されぬビッグスターだよオレたちゃ」

「おー、ホントだな〜何がヒットするかわかんねーよな〜」

「よーし、この調子でがんがんいくぜー!」

◇                  ◇

「ったくよー、ネタはほとんどオレが考えてるんだぜ?
 オレの方がギャラを多く取るのは当たり前じゃねーかよ?」

「何言ってんだよっ!オレのボケがあるから、お客に受けてるんだろ?
 おまえがネタを考えてるったって、オレの天才的なボケがなきゃ、始まらねーんだよっ!!
 んじゃ、何か?おまえは一人でボケて一人で突っ込めるのか?
 だったらやってみろよ!往年のうなづきトリオみたいなくせにっ!
 あぁーーーーー!やめたっ!オレは降りるっ!もうおまえとはやってらんねー!
 一人で勝手にやってろっ!オレはオレで一人でやってくっ!」

「おいおいおい、ちょっと待てよ!おーいって、おーーーーーーーい・・・・
 あーあ、行っちまいやがった・・・まっいずれこーなるだろーなーとは思ってたけどね
 でも、たけしさんや紳介さんみたいに、むしろピンになってからの方が
 ガンガン活躍してる人もいるからな
 あー、でもあの人達は二人ともボケ役か・・・突っ込みが一人で生き残るって・・・
 そだっ!そーいや、きよしさんは突っ込みだったな。しかも、今じゃ議員さんだ!
 よーし、こっからが正念場だっ
 オレもがんばるぞー♪
 この『満座石』がある限り、オレは大丈夫だ。
 まずはテレビショッピングの司会だっ!
 テレビショッピングかいっ?
 風見慎吾路線かいっ?
 あははは

 うーん、やっぱ一人でもやってけそーだぞ♪・・・・」

◇                  ◇

「はぁ、ヒマだ・・・全然仕事がこなくなった・・・
 どーしよ?
 やっぱコンビを解散しちゃったのがいけなかったかな〜
 しかし、あいつはすげーよなー、一人になっても全然勢いが衰えないもんな〜
 やっぱ、ネタって作るより演じる方が難しいんだよな〜
 オレ一人じゃなーーーーんも面白くないもんな〜
 そっか、だから構成作家とかがいるんだな
 ネタを作る才能はあるけど、演じることができなきゃしょーがないもんな・・・
 はぁ・・・これからどーしよ・・・構成作家にでもなるかな・・・
 でも裏方じゃな〜また舞台でスポットライトを浴びたいよな〜・・・
 でもさ、考えてみりゃ、オレの魂を売ってスターへの切符を手に入れたわけじゃない?
 それが、どーしてあいつが残って、オレが落ちなきゃいけないんだ?
 なんだか、めちゃめちゃ悔しくない?
 なーーーんて一人で愚痴ってもしょーがないか
 あいつにゃ元々才能があったってこと
 オレには才能がなかったってこと・・・」

「えー、毎度おなじみの魂交換でーす♪」

「おわっ!な、何だ突然っ!」

「えー、ご不要になりました、腐った魂、壊れた魂、賞味期限の切れた魂を
 アナタの願いと交換しまーす♪」

「・・・・だ、誰?」

「誰って、毎度おなじみ魂交換っていやーあなた普通、悪魔でしょ?あ、く、ま。
 それとも天使が魂をくれっ!なんて言う?」

「えっ?天使がって・・あ、悪魔?悪魔っていやー普通は
 こー、なんつーのかな、黒い衣装にマントかなんかしちゃって
 手には槍みたいなのを持ってるもんじゃないの?」

「古いね〜おにぃさんも。今時そんなのは流行らないの。
 でもほら、矢印のしっぽだけはあるでしょ?ほら。ねっ?
 まっいいや
 で、どう?魂を売ってみる気はない?
 あなたの願いをかなえちゃうよー♪」

「かなえちゃうよー♪って、何だかずいぶんと軽い悪魔だな〜いまいち信憑性に欠けるけど
 で、何でもかなえてくれるの?」

「あいよ♪かなえちゃうよ〜」

「じゃさ、もう一度オレが売れっ子になるよーにして♪」

「あら?そんな簡単なことでいいの?ちょっと待ってね〜
 -------ありゃ?おにいさん、魂ないじゃない?
 ありゃりゃりゃりゃりゃー、『満座石』を手にいれるのに売っちゃったんだー
 だめだこりゃ。んじゃーまたねーって、もう、会うこともないか・・・」

「ちょっと待って!ねっ、ここで会ったのも何かの縁じゃない?
 魂がダメならタマキンでどう?二つあるから一つ持ってっていいよ」

「タマキンって・・・・たくしょーがないねー
 よっしゃ、んじゃ今日は特別大サービス♪ってもタマキンをもらってもしょーがないから
 おにぃさんがまた復活するためのヒントをひとつだけあげる♪
 おにぃさんはさ、何で魂を売っちゃったの?」

「何でってさっきも言ったけど、この『満座石』を手に入れるために」

「でしょでしょ?ほーら、もうこれで分かったでしょ?じゃねっ ちゃお〜♪」

「ちゃお〜って、ちょっと待ってよー ちょっとー・・・・
 あーあ、行っちゃったよ・・・あー、でも・・・そっか
 この『満座石』を誰かに売ってその人の魂を悪魔に転売すればいいんだ
 そっか、いいこと聞いたぞ〜♪
 ・・・・ちょっと待てよ?
 でも、売るためには次の人にキーワードを渡さなきゃならないじゃん
 っつーことは、パスワードが必要ってことになるな・・・・
 次のパスワードってどうすりゃ手に入るんだろ?
 前の人はどうしたのかな?
 この『満座石』のどっかに書いてないかな?
 こうやってこすったら出てくるとか・・・」

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン♪」

「うわっ!!なんか出てきたっ!」

「出てきたじゃないっしょ、ご主人さま♪
 よくぞこすってくれました!
 これでアナタにも復活のチャンスが生まれましたー♪」

「えっ?ハクション大魔王?てか、復活出来るのオレ?」

「ハクション大魔王じゃねーよっ!あれはアニメの話
 あたしゃ、アラジン知ってるでしょ?アラジン。
 あれに出てくるランプの精、ジーニーの弟でジーサーンっつーの。
 ちなみにあたしの下はジーヨーン、ジーゴーって続くんだけどね。
 まっそんなことはどーでもいいや。
 あれでしょ?次のパスワードでしょ?分かってるって
 いったんは売れたけど落ちぶれたんでしょ?ねっ
 わーーーーってるって。全部。
 みーーんなそうやってきたんだからさ
 きよしも竜介もやっさんもね。
 でもね、勘違いしちゃダメだよ
 この『満座石』で売れるきっかけを得られるのは一回だけ。
 だからはっきり言っちゃうけどアナタはもう売れることはないの
 でもねパスワードさえあれば復活はできる。
 まっ復活ったって魂をもいっかい手に入れるだけだけどね。
 で、ぶっちゃけ売れるのは魂を売ってない方。
 つまり、これと引き替えに魂を売っちゃった方はいわば人身御供
 だって、魂ないんだよ?売れるわけないでしょ?
 だから、アンタは落ちぶれて当然なの。
 よーするに、コンビで売り出したんだったら、最後までコンビを組んでないとだめなの
 仲間を大切にしょーよっつーありがたーい教えも込められてるの。
 この『満座石』には。
 で、ついでに言っておくけど、漫談とかの一人で魂を売っちゃった人は
 必ず落ちぶれるからね。
 相乗作用がないからなんだけど、まっそこまで話すとキリがないから・・・

 とにかく、ねっ分かった?
 でもさ、一時はいい夢が見れたんだからいいでしょ?
 で、今パスワードを教えるから、それでこの『満座石』を売りなさい
 で、魂を取り戻して、まっとうな生活に戻りなさい。ねっ。
 分かった?」

「・・・・・」

「ハイは?」

「・・・・ご主人さまとか言っといて、ずいぶん態度がでかくね?」

「何ブツブツ言ってるの?んなこと言ってるとどっか行っちゃうよー
 いいの?それでもいいんだね?ご主人サマ」

「え、いや、その、、分かった、いや、分かりました。はい」

「そ。そーやって最初から素直にしてりゃアタシだって気分良くパスワードを教えられたのに
 まっいいや。はい、パスワードは【a miracle】ね」

「【a miracle】ってミラクル?オレたちのキーワードじゃん
 あっ!そーいえばオレたちのパスワードは【a mutter】だったっけ
 これって『つぶやき』だ。
 あーあの人はつぶやきシローさんだ・・・どっかで見たことあるとは思ったんだよな〜
 そーいえば、しゃべりも北関東なまりっぽかったし、ぶつぶつしてたわ・・・
 そっか、あの人のキーワードは『つぶやき』だったんだ。
 で、漫談で一人だったから落ちぶれたってことか・・・。
 んでもって、あーやってまた魂を取り戻そうとしてたのか。
 そっか、そっか、やっと色んなことが見えてきたわ。
 うん、分かったよ、これを売ってまっとうな生活に戻るよ
 ありがとう、ハクション大魔王♪」

「ちっげーよ!ハクション大魔王じゃねーよっ!いっこも聞いちゃいねえし
 んじゃアクビちゃんはどこにいるんだっつー話になるでしょ?
 ジーサーンだよっジーサーン。ちゃんと『サーン』って伸ばしてよ
 じゃないと、年寄りになっちゃうからさっ。
 まっいっか。二度と会うこともないし。
 んじゃ、がんばってね〜♪」

◇                  ◇

「へへへへ、復活できる♪
 大魔王は、あーは言ってたけど、オレには悪魔さんっつー強い見方がいるもんね
 とりあえずは、どっかでこの『満座石』を売って、それで手に入れた誰かの魂を
 今度は悪魔さんに売れば・・・・」

◇                  ◇

「さぁさぁお立ち会いっ!
 ご用とお急ぎでないかたは、ちょーっと見てってちょーだいっ!
 ここに取りぃ出したる石っ
 そんじょそこらの石とは・・・・」

◇                  ◇

ジーサーン
「ねっ?こーすればさ簡単に永久に魂を確保できるでしょ?悪魔さん。
 どーせアタシたちにとっちゃ奇跡を起こすことなんて
 朝飯前なんだからさ ほら見てごらん、また新しい魂が・・・・」


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